MIX師に歌ってみたの依頼をすると、「MIXしました!」と仕上がった音源が届きますよね。
でも実は、MIX作業に入る前に**「整音(せいおん)」**という大切な下準備の工程があるんです。あまり表に出ない工程ですが、この作業だけでボーカルの印象がかなり変わります。
今回は、MIX師として500件以上を手がけてきた筆者が、普段どんな「整音」をしているのか、ちょっとだけ裏話をお届けします。
※MIX依頼の全体的な流れを知りたい方は「初めての歌ってみたMIX依頼ガイド」をご覧ください。
整音ってなに?
整音とは、録音された歌声を「MIXに最適な状態」に整える下準備のことです。
料理にたとえると、MIXが「調理」だとしたら、整音は「下ごしらえ」。野菜を洗って皮をむいて、切りそろえる作業です。どんなに腕の良いシェフでも、下ごしらえが雑だと料理の味は落ちてしまいます。
MIXも同じで、整音がしっかりできているかどうかが、最終的な仕上がりの品質を大きく左右します。
整音で実際にやっていること
具体的にどんな作業をしているのか、普段の工程を紹介します。
1. ノイズの除去
録音された音源には、歌声以外にもさまざまな音が混ざっています。
- エアコンや冷蔵庫の「サー」という持続的な環境ノイズ
- 「プチッ」「パチッ」というクリックノイズ
- マウスやキーボードの操作音
- 部屋の反響(リバーブ成分)
これらを専用のソフト(iZotope RXなど)を使って、歌声を傷つけないように一つずつ取り除いていきます。
ポイントは「全部のノイズを完璧に消す」のではなく、歌声の自然さを保ちながら、気になるノイズだけを丁寧に処理すること。やりすぎると歌声まで不自然になってしまうので、バランスが大切です。
2. ブレス(息の音)の調整
歌の合間に入る「ハッ」「スッ」という息の音。これは一律に消すのではなく、曲の雰囲気に合わせて調整します。
- バラードなら、ブレスを適度に残すことで感情表現が豊かに
- テンポの速い曲なら、不要なブレスをカットしてスッキリした印象に
- サビ前の大きなブレスは、あえて残すと盛り上がりの演出になる
ブレスは「ノイズ」ではなく「表現の一部」。歌い手さんの歌い方を尊重しながら、最適なバランスを探ります。
3. 無音部分のクリーニング
歌っていない間奏部分や、歌い出し前の無音区間。ここに残っている微小なノイズを丁寧にカットします。
「え、そんな小さい音まで?」と思うかもしれませんが、MIXでコンプレッサーをかけると小さな音も持ち上がるので、この段階で処理しておかないと最終的な仕上がりに影響します。
4. 音量の極端なバラつきの整理
サビで急に音量が大きくなったり、Aメロで極端に小さくなったり——そんな音量差が激しい箇所を事前に整えておきます。
これを先にやっておくことで、MIX工程でのEQやコンプレッサーの効きが良くなり、結果的により自然で聴きやすい仕上がりになります。
5. リップノイズ・マウスクリックの処理
口を開く時の「ペチャ」という音や、唾を飲み込む音。録音時には気づかなくても、ヘッドホンで聴くと意外と目立ちます。
これも専用ツールで一つずつ処理します。地味な作業ですが、この積み重ねが「プロっぽい仕上がり」と「なんか気になる仕上がり」の差になります。
整音にどのくらい時間をかけているの?
正直にお話しすると、1曲あたり30分〜1時間以上かけることも珍しくありません。
音源の状態によって大きく変わりますが、ノイズが多い音源や曲が長い場合は、整音だけで1時間を超えることもあります。MIX作業そのものよりも整音に時間がかかるケースもあるくらいです。
「そんなに時間をかけてるの?」と驚かれることもありますが、ここを丁寧にやることで、その後のMIX工程がスムーズに進み、最終的な仕上がりのクオリティがぐっと上がります。この整音工程も含めた料金については「MIXの料金相場」で詳しく解説しています。
整音の「ビフォー・アフター」
整音前と整音後を比べると、その違いは歴然です。
整音前: 歌声の背景に「サー」というノイズが聞こえる。間奏部分にも微小な音が残っている。ブレスが大きすぎたり、リップノイズが気になる箇所がある。
整音後: 歌声がクリアに浮かび上がり、背景が静か。ブレスは曲の雰囲気に合った自然なレベル。間奏の無音は本当に「無音」。
言葉で説明すると地味に聞こえますが、実際に聴き比べると**「同じ録音なの?」**と思うくらいの変化があります。
依頼者さんにお願いしたいこと
整音はMIX師の仕事ですが、録音の段階で少し気をつけていただくだけで、整音の精度はさらに上がります。
やってほしいこと
- 録音前にエアコンを切る — 持続ノイズが減るだけで仕上がりが劇的に変わります
- 録音したままの状態で送る — 無加工のWAVが一番ありがたいです
- 歌っていない部分も残す — 間奏の無音部分はノイズ除去のサンプルとして使います
やらないでほしいこと
- 自分でノイズ除去しない — 不適切な処理で歌声が削れることがあります
- ノイズゲートをONにしない — 小さな声やブレスが自動カットされてしまいます
- エフェクトをかけない — リバーブやエコーは後から除去できません
録音のコツについてもっと詳しく知りたい方は「良い録音と悪い録音の違い」もあわせてご覧ください。デバイス別の詳しい録音方法は 📱 録音・音源提出ガイド をどうぞ。
まとめ:地味だけど、歌声を活かすための大切な時間
整音は、MIXの裏方の中のさらに裏方。お客様の目に触れることはほとんどありません。
でも、この地味な工程こそが「なんかこのMIX、仕上がりが良いな」と感じていただけるかどうかの分かれ道だと思っています。
一人ひとりの歌声に向き合って、丁寧に整える。そんな気持ちで、毎回の整音に取り組んでいます。
「自分の録音で大丈夫かな…」と不安に感じている方も、安心してください。どんな録音状態でも、まずは丁寧に整音するところから始めますので、お気軽にご相談ください😊
Ryuzan Mix Salonでは、整音からマスタリングまで一貫して丁寧に対応しています。
✅ 実績500件以上・リピート率80%超 ✅ iZotope RXによる本格的な整音処理 ✅ スマホ録音OK・初心者大歓迎
👉 ご依頼・ご相談フォームはこちら 👉 初めてのMIX依頼ガイドを読む 👉 MIXの料金相場を知りたい方はこちら 👉 良い録音のコツを知りたい方はこちら 👉 録音方法が分からない方はこちら


コメント